一般相対論入門 はじめに
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時空の歪みという概念は、中世における地動説と同様、日常生活に基づく直感とはかなりの隔たりがある。こんな会話が聞こえてきそうである。「重力は存在せず、落下する物体は時空の歪みに従い、まっすぐに進んでいるだけだ。」「?? 全然、歪んでませんけど・・・」「だな。」 4 次元時空、宇宙の外に出ることができない我々が時空の歪みを考えることは、曲面を外から眺めるのではなく、その面内に閉じ込められたアリが曲面の歪みを考察する状況に近い。そこで数学的な道具立ての準備として、内在的 (intrinsic) な曲面論 ━━ 外の世界を前提としない曲面論を調べることから始めよう。曲面論のトピックは幅広いので、その中で相対論に必要な部分だけを取り扱うことにする。その結果を用いて、時空の歪みとその原因 ━━ 一般相対論の入門を説明していく。本カテゴリは二部構成となる予定。 第一部 内在的な曲面論 第二部 一般相対性理論入門 お勧めの教科書はBernard Schutz: "A First Course in General Relativity" (シュッツ 相対論入門 Ⅰ/Ⅱ 丸善)。 Local Flatness Theorem を用い、局所慣性系で議論を進めていく過程が大変分かりやすく、また面白かった。これまで何冊か読んでみたが、最後は決まって字面をただ追っているだけになっていた一般相対論が、この本で初めて相対論(の入門)が理解できたと感じた。 章立ても巧みで、章の終わりに次の章へのイントロがさりげなく書かれていて、モチベーションを高めてくれる。 とはいえ、基本的な部分でしっくりこなかった箇所もあったので、自分も含め、理工系で物理学科以外を専攻した人向けに、一般相対論の基礎を理解してもらうことを目標としています。
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