となり、任意の線形写像はベクトルで表現できる。ベクトルはベクトルであると同時に内積 " ∙ " を通して自身への線形写像でもある。すなわち、同じ「幾何学的実在」をベクトル V としてみることも、双対ベクトル V としてみることも可能である。V=Viei=Vjej=V従って、計量空間では、ベクトルと線形写像を、ベクトル空間 V と双対空間 V* をそれぞれ同一視することができる。物理における双対の例として、以下を挙げておこう(いづれもフーリエ変換による)。【 ex.1 】実空間(ベクトル空間)における平面波と、 k 空間(双対空間)実空間の位置ベクトル r と k 空間の波数(双対)ベクトル k 間の内積<k,r>=const.は等位相面を与える。また、変位ベクトル Δr と波数(双対)ベクトル k で内積をとると、<k,Δr>は Δr 間にある 2𝜋×(波面の数)となり、これが波数ベクトルの名前の由来と思われる。【 ex.2 】実空間(ベクトル空間)における結晶格子と、逆格子(双対空間)実空間の格子ベクトル R と逆格子(双対)ベクトル G 間の内積<G,R>=2m𝜋は m を整数として、回折条件(全ての格子点からの散乱波が同位相となる)を与える。詳しくは固体物理の教科書を参照してほしい。ほとんど全ての教科書で k,G ではなく、k,G と書かれているのは実空間に内積 " ∙ " が定義されていて実空間と双対空間を同一視しているから。ここでは双対性を前面に出してあえてこのように書き表してみた。接空間 TPM の話に戻ると、こちらもベクトル空間であるからには、その双対となる線形写像のベクトル空間が存在するはずで、それを余接空間 T*PM と呼び、その元を 1-form と言う。その基底、元を考えよう。接ベクトルバンドルと同様、超曲面 M 上の各点 P の余接空間 T*PM すべて集めたもの ∪T*pM を余接バンドル、各点 P で 𝜑|P が定義できるとき 𝜑 を 1-form の場と呼ぶ。方向微分を別の視点から考えるここまでは方向微分を考える際、曲線、及び接ベクトルを固定し、関数をその変数df
ds≡V(f)=Vfと考えたが、関数側を固定し、曲線を変えて、接ベクトルを変数とする見方もできる。差し当たりベクトルを与えると「 f の方向微分を返す写像」を df と書くことにすると(記号をこのように書く理由はすぐに明らかになる)df
と、解析でおなじみの全微分の式が導き出されてくる。「f の方向微分を返す写像」を「差し当たり」df と書いたのはこの対応付けが直感的で分かりやすいことによる。 繰り返しとなるが、dui は微小変位ベクトルの成分、dui は T*PM の座標基底となる。 dui は微小量だが、dui は写像の基底なので、それ自体に大きさの概念はなく、微小変位ベクトルに作用した時に微小量を与えるものである。教科書によっては同じ記号 dui で表すことも多いが、混乱を避けるため、Schutz: "A First Course in General Relativity" に習い、基底は dui と記述することにする。成分・基底の座標変換座標変換を求めるにあたり、双対基底による成分の切り出しをここでも使おう。ui ' 系のベクトルの基底 ∂